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アラサー新婚OLの記録

結婚生活、試行錯誤中。

セカンドハウスの提案

夫がセカンドハウスを持ちたいと言い出した。私は賛成するしかなかった。なぜなら、もう夫はそれをやらなければ気が済まないだろうと思ったからだ。夫にそれを言うと、夫は「君は俺の理解者だな」「嬉しい」と言った。

夫が言うには、こうだ。
今、仕事が忙しいから、会社の近くに越したい。また、社会人になってからひとり暮らしを経験していないことが、心のなかでしこりになっている。だからひとり暮らしをしたいというのだ。
夫は、結婚というものを受け容れられないことで苦しんでいる。いや、一時期よりもだいぶ状況はよくなったろう。夫の態度もほぼ、同棲前か同棲中の頃と変わらないくらいに戻った。よく笑うし、よく話しかけてくる。むこうから歩み寄ってきているな、と感じることができるくらいになった。だけど、「心のしこり」が気になって仕方ないのだろう。今のように、私と一緒に暮らしながらでは、結婚を受け入れることに時間がかかってしまうという。「心のしこり」を解消できれば、結婚を受け入れる気持ちになることが、少し早まるのではないかと思っているようである。果たしてそうなのかどうなのか、もうやってみなければわからないし、やる以外にない状況である。

夫の結婚観というのは、なんだかかなり変わっている。私が思うものとはだいぶ違っていて、一抹の不安を覚える。私は、どんなときも同じ家に帰って、その日あったできごとを話したり、くだらないやりとりをしたりして「家族」になっていきたいという考えの持ち主だ。夫も、それはいいと思うと言ったが、今のままではそこにたどり着く自信がないようなのだ。
セカンドハウスと言っても、これは立派な別居だと私は思っている。夫は「出張と同じ感覚なんだけど」と言うが。ただでさえ出張で家を空けてばかりなのに、そこに輪をかけて家にいなくなるのなんて、私は結婚した意味がわからなくなりそうだ。
これが二人が夫婦になるための試練だというのなら仕方ないが、いったい私たちがどうなってしまうのか、私だってわからない。

夫は言う。「君が他の人に行ってしまうリスクは常にある」と。
その上で、「いなくならないで」「他の人にとられたくない」と言う。
こんな風に素直に言ってくれるのはすごく稀なことで、私は純粋に嬉しくて泣いた。夫としては、もうしょうがないのだ。自分の問題を解決しなければ、先に進めないのだ。だからリスクを抱えながらも、あえてそのリスクが伴う道を選択しようとしている。
夫は、あらゆる心理療法を自分で実行し、本を読み、その上で「やっぱり君のことが好きだと思ったよ」と言った。私だって夫が好きだ。でも、私はこの一人暮らしの寂しさに耐えられる自信が今はあまりない。こんな広い部屋にひとり、本当に寂しい。なんでそばにいてくれないのだろうと思ってしまう。そばにいてくれる人が欲しいし、そうしている夫婦が羨ましい。

「あなたの気が済まないと思うから、賛成はする。でも、私はいろいろ思ってるよ」と私は言った。思うことを素直に言った。夫は、これまでなら冷たく跳ね除けていただろう。面倒くさいといった態度で目を閉じて生返事をするか、背を向ける様子が目に浮かぶ。昨日の夫はそうじゃなかった。「君が悲しむのは嫌だから」と、私に腕を回して話を聞いてくれた。優しい声音だった。

ただ、私が悲しむのが嫌なのも、自分の気が済むようにしたいのも、どちらも本音で、後者が優先されることは、ふたりともわかっている。夫自身、自分の考えがクリアになったのはよかった。その上で私を好きだという気持ちを再認識してくれたことも。だけど、先が見えない。